ip pim bsr-candidate
CiscoルータやCatalystのip pim bsr-candidateコマンドについて、構文や使い方を設定例交えて説明しています。
説明
マルチキャストルーティングのスパースモード(PIM-SM)では、マルチキャストデータを要求するRPを設定する必要がありますが、自動配信も出来ます。
BSRの候補を設定し、BSRから他の装置に配信します。

ip pim bsr-candidateコマンドにより、BSR候補となるよう設定が出来ます。BSR候補は複数の装置で設定出来、結果的に1台の装置がBSRになりますが、障害等でダウンすると優先度に従って次のBSRが決定されます。
RPの情報は「ip pim rp-candidate」コマンドで設定した情報で、BSRと違う装置がRPになる事も、BSRと同じ装置がRPになる事も出来ます。
又、「ip pim rp-address」コマンドにより、各CiscoルータやCatalystに明示的にRPのIPアドレスを設定していた場合、BSR候補の設定は不要です。
構文
ip pim bsr-candidateコマンドの構文は以下の通りです。
ip pim bsr-candidate インターフェース [ ハッシュマスク長 ] [ プライオリティ ]
インターフェースはBSRとして他の装置に教えるIPアドレスを設定したインターフェースを指定します。
ハッシュマスク長は0〜32の値でデフォルトは0です。
ハッシュマスク長を例えば8とし、RP候補が複数存在して他の要因に影響されない場合、マルチキャストアドレスが224.0.2.10と224.0.2.50の通信では使われるRPはどちらも同じになります。マルチキャストアドレスの先頭8ビットが同じためです。
マルチキャストアドレスが225.0.0.10等を使うと異なるRPが選定される可能性があります。先頭の8ビットが224と225で異なるためです。

ハッシュマスク長のデフォルト0はマルチキャストアドレスに寄らず全て同じRPが使われ、最大値32は全て異なるRPが使われる可能性があります。
このように、ハッシュマスク長でマルチキャストアドレスの何ビット目までが同じであれば同じRPを使うのか指定する事でRPの負荷分散が実現出来ます。
プライオリティは優先度で0〜255までの範囲が使えます。デフォルトは0で数字が大きい方がBSRになり、同じ数字の場合は指定したインターフェースのIPアドレスが大きい方がBSRになります。
デフォルトではBSR候補の設定はされていません。
設定例
gi0/1に割り当てたIPアドレスをBSR候補とする設定例は以下の通りです。
Cisco(config)# ip pim bsr-candidate gigabitethernet0/1 32 200 Cisco(config)#
他のCiscoルータやCatalystがデフォルトの場合、上記でBSRになります。
尚、CatalystでVLAN間ルーティングを行っている場合、物理インターフェースではなくVLAN10等のVLANインターフェースを指定する必要があります。
利用可能なモード
・グローバルコンフィギュレーションモード
削除
設定を削除するコマンドは以下の通りです。
Cisco(config)# no ip pim bsr-candidate Cisco(config)#