フレームとCSMA/CD方式

IPを使って通信する際のフレームは、構造が決まっています。また、フレームが確実に送信できるような仕組みも考慮されています。

本項では、フレームとCSMA/CD方式について説明します。

フレームヘッダー構造

MACアドレスではフレームについて簡単に説明していますが、正確なフレームのヘッダー構造は、以下のとおりです。

フレームヘッダー構造

これはEthernetII形式と言われ、IPを使って通信する時に使われるフレーム形式です。

それぞれの意味は、以下のとおりです。

【フレーム構造の説明】
項目 バイト 説明
宛先MACアドレス 6 宛先MACアドレス
送信元MACアドレス 6 送信元MACアドレス
タイプ 2 ペイロードのプロトコルを示す
ペイロード 46〜1500 データ
FCS 4 フレームのエラー検知

タイプは、IPアドレスを使った通信であれば0800となり、ペイロード部分に宛先や送信元のIPアドレス、送信するデータなどが入ります。

FCS(Frame Check Sequence)は、フレームのFSC以外の部分をある計算で数値化したものです。受信側で同様の計算をして、受信したフレームのFCSと比較することでフレームが壊れていないか確認できます。

プリアンブル

フレームの前にはプリアンブルと言って、これからフレームが流れることを示す信号が8バイト(byte)付加されます。プリアンブルは、決まった信号の羅列でこの信号を最初に送ることですぐにフレームが送られてくることを示しています。また、フレーム間は12バイト分の間を空ける決まりになっています。

CSMA/CD方式

フレームの最も短い長さは、ペイロードが46バイトの時で64バイトになります。

これには理由があります。

基本編のHalf/Full Duplexでも説明した通り、Half Duplexでは相手が通信中は待っていなければいけません。現実の世界では道の途中を進んでいても相手が来たらバックして戻りますが、ネットワークの世界ではぶつかるまで突き進み、これを衝突と言います。衝突を検知すると双方再度送り直します。

フレームの衝突

例えば、パソコンがフレームを送り終わった後に衝突が発生したとします。この場合、パソコン側は自分が送信したフレームだとわからないため再送できません。

送信し終わった後のフレームの衝突

このため、ケーブルをフレームで満たせる長さで送信します。

ケーブルを満たす長さのフレーム

このようにすれば、パソコンがフレームを送信中に衝突すれば、自身が再送する必要があると判断できます。このケーブルをフレームで満たす最低限の長さが64byteになります。このため、ケーブルの長さも64byteのフレームで満たせる長さが制限長になります。

通信を衝突、再送信前提で行うこのようなしくみをCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式と言います。

Full Duplexではこの制限はありませんが、途中Half Duplexの経路を通る可能性もあるため、この制限に従っています。

逆にフレームの最も長い長さは1518byteになりますが、タグが付加された場合やジャンボフレームといってもっと長いフレームも対向する機器でサポートしている場合は扱えます。

関連ページ

フレーム形式
フレームはIPで使うEthernetII形式だけでなく、IEEE802.3形式などもあります。各フレーム形式について説明しています。