スタック
複数のLANスイッチを1台のLANスイッチに見せる技術があります。
本項では、スタックについて説明します。
スタックとは
LANスイッチをスタック接続すると、複数のLANスイッチを1台のように扱えます。
LANスイッチ間は、スタックケーブルという装置固有のケーブルを使って接続します。
LANスイッチをスタックすると、台数分の設定を行う必要がなく1台の装置として設定できます。また、監視を行う場合でも1台として扱えるため、多数のLANスイッチがあるネットワークでは管理を簡略化できます。
スタック機能があると便利ですが、通常のLANスイッチと比較して一般的に高価です。
信頼性の向上
スタックしたLANスイッチでは、複数のLANスイッチにまたがってリンクアグリゲーションを構成することができます。
このため、1台のLANスイッチが故障した場合でも残りのLANスイッチの接続で通信を継続可能であり、信頼性を向上させることができます。
また、スタックの機能がない場合、LANスイッチ4台を冗長性を持たせて接続する時は、例えば以下のように接続します。
この場合、スパニングツリープロトコルなどでループを回避する必要がありますが、切り替えも遅く規模によっては設計も複雑になります。
4台のLANスイッチをスタックすることで、スパニングツリープロトコルなどを用いなくても容易に冗長性を確保できます。
容易な増設
スタックの機能がない場合、LANスイッチのインターフェースが不足して増設する時は、簡易的には以下のように増設可能です。
この場合、既存のLANスイッチが故障すると増設したLANスイッチに接続されたパソコンも通信できなくなってしまいます。
このようなことを避ける場合、以下のように増設します。
このように接続した場合、増設したLANスイッチに接続されたパソコンは既存LANスイッチの故障に影響を受けませんが、接続先のLANスイッチとの間にケーブルが必要です。
ケーブルが余っていれば問題ありませんが、距離があったり建屋をまたがって光ケーブルを敷設しないといけない場合などは、高価で時間もかかり容易ではありません。
スタックの機能を持っている場合は、以下の図のように信頼性を保ちながら容易に増設可能です。
リンクアグリゲーションを構成する1本がダウンしたとしても、残った1本とスタックケーブルを経由してどちらのLANスイッチも通信を継続できます。
容易な交換
LANスイッチが故障して交換した場合、通常は設定を入れ直しますが、スタックしている場合は他の機器で設定が保存されているため、接続するだけで使えるようになります。
このため、容易に交換可能です。
関連ページ
- 応用編「リンクアグリゲーション」
- リンクアグリゲーションの仕組みや負荷分散の仕方などを説明しています。
- 応用編「スパニングツリープロトコル」
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- Catalystでのスタックの設定方法を説明しています。