小規模ネットワークの構築 - 機器の役割

数人〜数十人が利用する小規模ネットワークを構築する時の機器の役割について説明します。

単にインターネットと通信できればいい場合

単にインターネットと通信できればいい場合、ISPと契約して貸し出されるルーターによってPPPoEやDHCPなどでグローバルアドレスが取得されます。

また、LAN側に接続されたパソコンにはDHCPでプライベートアドレスが自動で割り当てられます。

ISPから貸し出されたルーターの役割

実際に通信する際は、ルーターからDNSでIPアドレスを解決し、NAPTによってプライベートアドレスからグローバルアドレスに変換されて通信が可能になります。また、ルーターのファイアウォールによって、インターネットからの不正アクセスを防げます。

これは、家庭でのインターネット接続と機器の役割は同じです。詳細は、家庭内ネットワークの構築 - 機器の役割をご参照ください。

ルーターを設置する必要がある場合

回線終端装置にルーターの機能がなく、事務所側で用意する必要がある場合は、ルーターにPPPoEかDHCPの機能が必要です(通常ルーターは、どちらにも対応していると思います)。どちらが必要かは、契約するISPによります。

インターネット接続用ルーターの役割

これによって、インターネットで利用可能なグローバルアドレスが割り当てられます。

一般的に、ルーターにはDNSキャッシュサーバーの機能も必要です。パソコンからDNSの問い合わせをする際、ルーターが代わりに応答します。

ネットワークを分けたい場合

経理と営業部門でネットワークを分けたいなどの要件がある場合、ルーターがLAN側でルーティングできる必要があります。

インターネット接続向けのルーターでは、以下のようにLAN側では1つのサブネットしか持てないものも多くあります。

ルーターの内部構造

この場合、経理と営業部門でネットワークを分けてルーティングすることができません。

このような内部構造を持つルーターでも、設定によってLAN側をルーティングできるものもあります。また、すべてのインターフェースでルーティングできるルーターであれば、もちろん問題ありません。

タグVLANか複数LANスイッチか

接続するパソコンやプリンターなどが、ルーターのインターフェース数を超える場合、別途LANスイッチ(L2スイッチ)が必要です。

この時、LAN内でルーティングする場合は、1つの方法としてタグVLANを使う方法があります。タグVLANを使えれば、1台のL2スイッチで複数のサブネットに接続する機器を収容することができます。

タグVLANを使ってサブネットを分ける場合

この場合、ルーター側でもタグVLANが使える必要があります。

タグVLANを使えるL2スイッチは、使えないL2スイッチと比較して高価です。また、ルーター側がタグVLANを使えない場合もあります。このような場合は、サブネットごとにL2スイッチを導入します。

LANスイッチを複数台設置してサブネットを分ける場合

このネットワーク構成であれば、L2スイッチは特に設定など不要で安価なL2スイッチで済みます。小規模ネットワークでは、こちらの方が簡単だと思います。

ルーターやL2スイッチの選定について

ルーターは、家庭向けのものでもインターネットと接続する上ではまず問題ありません。ただし、LAN側でルーティングする、タグVLANを利用するといった場合は、家庭向けだと機能を持っていないこともあります。この場合、少し高くなりますが、法人向けのものが必要になります。

L2スイッチは、ルーターのインターフェース数が足りない場合に必要となります。タグVLANを使わない場合は、パソコンやプリンターを接続するのに必要なインターフェース数だけ気にすればよく、他に特別な機能は必要ありません。

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