LANスイッチの種類

LANスイッチは多数の機種がありますが、機能や形によって種類分けされています。

本項では、LANスイッチの種類について説明します。

ノンインテリジェントスイッチ

フレームを転送する機能やMACアドレステーブルなど、最低限の機能を備えたLANスイッチをノンインテリジェントスイッチと言います。このため、ノンインテリジェントスイッチはL2スイッチになります。

以下は、バッファローのノンインテリジェントスイッチです。

バッファロー製のノンインテリジェントスイッチ

設定自体ができない製品も多く、そのような製品ではIPアドレスやVLANなど、設定が必要な機能はありません。

ノンインテリジェントスイッチは非常に安価で、家庭や企業の居室内などで利用されます。

ログも取得できない場合が多く、トラブル発生時に原因究明が難しくなるため、重要な通信が発生する経路にノンインテリジェントスイッチを使うことは避けた方が無難です。

インテリジェントスイッチ

VLANやIPアドレス、SNMPなどの設定ができるスイッチをインテリジェントスイッチと言います。以下は、バッファローのインテリジェントスイッチです。

バッファロー製のインテリジェントスイッチ

インテリジェントスイッチはメーカーによってサポートしている機能が異なりますが、最低限レイヤー2の機能を複数サポートしており、SNMPなどの管理機能もあります。

また、レイヤー3までの機能をサポートしているL3スイッチもあります。

インテリジェントスイッチは、ノンインテリジェントスイッチと比較して一般的に高価ですが、VLANやレイヤー3の機能が必要な場合は必須です。また、SNMPによる管理やログ取得もできるため、重要な通信が発生する経路にはインテリジェントスイッチが推奨されます。

ボックス型スイッチ

インターフェースが固定されているLANスイッチを、ボックス型スイッチと言います。

ボックス型スイッチ

1000Base-Tが48インターフェース、24インターフェース、12インターフェースなど固定されており、変更できません。SFPやSFP+を挿入するインターフェースがある場合は1000Base-SX、1000Base-LX、10GBase-SR、10GBase-LRなど、SFP、SFP+の交換でインターフェースを変えることはできます。

例えば、上の図では右端の縦に並んだ2つのインターフェースにSFPやSFP+を挿入して使います。

ボックス型スイッチは、最低限の機能を備えたノンインテリジェントスイッチ、VLANやIPアドレス、SNMPなどの設定が可能なインテリジェントスイッチがあり、さらにレイヤー2までの機能を持つL2スイッチ、レイヤー3以上の機能を持つL3スイッチ、スタック可能なLANスイッチなどが存在します。

家庭向けのノンインテリジェンントスイッチは数百円から数千円、企業向けのインテリジェントスイッチでもL2スイッチであれば数万〜数十万円、L3スイッチであれば数十万円〜数百万円位だと思います。

シャーシ型スイッチ

ボックス型スイッチを積み重ねたようなスイッチを、シャーシ型スイッチと言います。

シャーシ型スイッチ

上記のシャーシ型スイッチは電源が冗長化されており、スロットが1〜4まであります。また、スロット1にはコンフィグなどを保存する中央処理部分が搭載され、スロット2〜4までは多数のインターフェースを持ったカードが搭載されています。

電源が2つあって、スロットが4つある

このように、シャーシ型スイッチでは電源を搭載する部分に電源、各スロットに中央処理部分を搭載する、またはインターフェースを増強するカードを搭載して、大量のインターフェースを集約することができます。

シャーシ型スイッチはカードを搭載してインターフェース数を増やせる

上記の図ではスロットは4つですが、3つ、6つ、9つなど装置によってさまざまです。

電源や中央処理部分を2つ搭載して、1つが故障した時に自動的に切り替えることで信頼性を向上できる装置もあります。

シャーシ型スイッチは、通常はインテリジェントスイッチです。ボックス型スイッチと比較して高価で数千万円、場合によっては数億円の値段がしますが、インターフェースを多数提供できるため、数千人、数万人が利用するネットワークを構築する上では必要になってきます。

ストア・アンド・フォワード

フレームをいったんすべて受信してから転送する方法を、ストア・アンド・フォワードと言います。

ストア・アンド・フォワードのフレーム転送例

フレームをすべて受信する時間分遅延が発生しますが、エラーのあるフレームを破棄したり、フレームの内容によってフィルタリングしたりできます。また、転送先のインターフェースが異なる速度でも転送可能です。

遅延時間に関しては、例えばWebサーバーを参照する際に体感できるような遅延ではないため、通常の利用環境では実質デメリットがなく、多くのLANスイッチが採用している方式です。

カットスルー

フレームをすべて受信する前に、必要な情報を受信すると転送を始める方法をカットスルーと言います。

カットスルーのフレーム転送例

最低限必要な情報は、宛先MACアドレスです。宛先MACアドレスがわかればMACアドレステーブルからどのインターフェースに送信すればよいか判断できるためです。

フレームをすべて受信する前に転送を始めるため、ストア・アンド・フォワードより遅延が少ないのがメリットですが、エラーのあるフレームを破棄したり、フレームの内容によってフィルタリングすることが難しくなります。また、転送先のインターフェースが異なる速度では利用できません。

カットスルーは遅延が少ないため、一時はストア・アンド・フォワードと同様に多くのLANスイッチで採用されていましたが、最近ではほとんど見かけません。

ただし、膨大なデータを非常に低遅延で通信させる必要があるシステム向けに、一部の製品はカットスルーを採用しています。

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