LANスイッチ
機器と機器を接続するためには、LANスイッチ(または、単にスイッチ)という装置を使うことが多いです。
本項では、LANスイッチについて説明します。
LANスイッチの役割
LANスイッチの役割は、たくさんの機器をネットワークに接続することです。
ルーターなどにも接続することで、LANスイッチに接続した機器がルーティングした先の機器とも通信ができるようになります。
LANスイッチやルーターで機器を接続する口(ケーブルを差し込む口)を、インターフェース(またはポート)と呼びます。
上記のLANスイッチであれば、8つのインターフェースがあって8台の機器を接続できます。
24のインターフェースや48のインターフェースがあるなど、LANスイッチの機種によってインターフェース数はさまざまです。
道しるべのない分かれ道
ルーターは道しるべの役割をして、分かれ道でどちらに行けばよいか教えてくれます。
これに対し、LANスイッチは分かれ道ですが、どちらに行けばよいか教えてくれません。このため、LANスイッチを通る際はどちらに行ってよいかわからず、フレームがすべての道へ分岐します。
分岐した先の機器で送られてきたフレームのMACアドレスを見て、受信するか無視するか判断します。
LANスイッチは、ルーターのようなソフトウェア処理が少ないため高速です。
MACアドレステーブル
LANスイッチを通る際は、必ずすべての道へ分岐する訳ではありません。LANスイッチは、フレームが通るたびに送信元のMACアドレスとどのインターフェースから受信したかを学習します。
学習した内容は一定時間覚えていて、MACアドレステーブルと呼ばれます。MACアドレステーブルは、以下のようなテーブルになっています。
インターフェース番号 | MACアドレス |
---|---|
1 | MACアドレスa |
2 | MACアドレスb |
3 | MACアドレスc |
上記では、MACアドレスaは1番のインターフェースに接続されているとわかります。
LANスイッチは、MACアドレステーブルに載っているMACアドレスに対する通信をすべてのインターフェースには送信せず、対応するインターフェースにだけ送信するようになります。
なお、MACアドレステーブルはMACアドレスごとに一定時間保持していますが、時間が過ぎたものから忘れます。接続された機器が変更になると、MACアドレスも変わってしまうためです。
ポイント
学習するのは、あくまで送信元のMACアドレスという点がポイントです。つまり、パソコンからサーバーにフレームを送り続けてもパソコンのMACアドレスしか学習せず、サーバーのMACアドレスは学習しないため、常にすべてのインターフェースにフレームを送ってしまいます。
パソコンからサーバーにフレームを送って、その応答があった場合、既にパソコンのMACアドレスは学習されているため、パソコンが接続されたインターフェースにだけフレームを送信します。
この時、サーバーのMACアドレスも学習するため、パソコンからサーバーへのフレームもサーバーが接続されたインターフェースにだけ送信されるようになります。
このように、通信を重ねると最適化されていきます。
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