便利な住所録

豆電球の送り先として相手の名前だけ知っている場合、住所はどうやって調べるのでしょうか?

第三話では、名前から住所を導き出す方法について、住所録に例えて紹介しています。

住所は住所録で調べる

豆電球で通信するために、Aデパートの住所を配達人に教えなければいけませんが、普通はデパートの住所を知ってる人はいません。そこで住所録を使って調べます。

住所録で調べる時、いきなりAデパートを見つけるのは難しいため、目次を開いて「お店」を探し、「お店」のページで「デパート一覧」を探す、「デパート一覧」からAデパートを探すといったように順番に調べると思います。

自分住所録便利な住所録1

住所さえわかれば、後は住所を配達人に教えれば豆電球で通信が可能になります。

住所は変わっても届く

住所録を使って調べる場合、Aデパートの住所が変わっていると配達人はちゃんと届けることができません。このため、Aデパートの住所が変わった場合、上の図で「3-3.デパート一覧」のAデパート部分を書き直す必要があります。書き直すことで新しい住所を知ることができて、配達人が届けることができるようになります。

住所録の一部を書き換える。

住所録の正体

住所録は、ネットワークではDNS(Domain Name System:ドメインネームシステム)と言われています。

例えば、Webサイトのwww.example1.co.jpを見たいとします。しかし、実際の通信では住所がわからないと通信できないため、DNSを使ってIPアドレスを探す必要があり、住所録を使った住所の調べ方と同じような動作をします。

www.example1.co.jpを例に取ると、以下の図のようにまずルートサーバーを参照し、そのルートサーバーはjpを管理しているサー バーのIPアドレスを回答します。次に、jpを管理しているサーバーに聞くとcoを管理しているサーバーを回答するというように順番にたどって行き、最後にexample1を管理しているサーバーがwww.eample1.co.jpのIPアドレスを教えてくれるのです。

DNSはルートサーバーから順番に探していく。

example1.co.jpの部分をドメインネームと言って、企業や個人などがドメインを管理している団体から取得します。また、www.example1.co.jpのような名前をFQDN(Fully Qualified Domain Name)と言い、www部分はドメインネームを取得した個人や企業などで好きな名前を割り当てます。

DNSのポイント

DNSでは、まずルートと通信するのですが、何故その住所であるIPアドレスを知っているのでしょうか?

実は、問い合わせを行う機器ではDNSが使えるように最初から登録されているのです。

また、ルートはいきなりwww.example1.co.jpのIPアドレスを回答したりしません。あくまで1つ下のjpのIPアドレスを回答するだけです。これは、DNSが下の図のように階層構造になっていて、それぞれのサーバーはすぐ下のIPアドレスだけしか知らないためです。

DNSは階層構造になっている。

この知らないという点にはメリットがあります。

www.example1.co.jpのIPアドレスが変わった場合、example1を管理しているサーバーだけ書き換えればよく、ルートなど他のサーバーは書き換えなくて済むのです。Aデパートの住所の書き換えが一部であるように、それぞれ自分が管理する範囲だけ正確に書き換えればいいようになっています。

DNSは必要か?

ホームページを見る際、www.example1.co.jpと書かなくてもIPアドレスを書けばページは表示されます。つまり、通信する上でDNSは必須ではありません。

しかし、Aデパートに行くために住所を憶えている人はいないと思います。これと同じで、IPアドレスは覚えにくく数字の組み合わせのためイメージもできません。また、移転すると住所が変わるようにIPアドレスも変わる可能性がありますが、DNSがなければIPアドレスがわからずにたどり着けません。

このように、DNSは通信する上で必須ではないものの、わかりにくいIPアドレスをわかり易い名前で使えるようにするために必要です。

全三話のまとめ

ここまで、三話にわたってネットワークのしくみを説明してきました。

第一話では、通信は豆電球と同じでチカチカしていて、これをビットと言う。早くチカチカさせると、短い時間でたくさんの情報を伝えることができる。これは、bpsで表されると説明しました。

第二話では、通信は住所としてIPアドレスが使われる。たくさんの分岐点があっても、道しるべの役目をするルーターがどちらに行けばよいか教えてくれる。魚屋さん、靴屋さんなど売っているものが違うように、メール、Webなどサービスを区分けするポート番号というしくみがあると説明しました。

第三話では、通信においてDNSという住所録があって、名前から住所であるIPアドレスを知ることができると説明しました。

家庭でインターネットを利用する上では、上記の理解で十分だと思います。

なお、話が横に逸れないようにかなり省略して書いている部分もあります。疑問に思った方や、ネットワークに携わる方はその他の項目も読んでみてください。

最初のページ第一話:豆電球で通信