配達人が運ぶ
豆電球で通信する場合でも、まずは通信相手に豆電球を渡す必要があります。第二話では、通信相手までどのように豆電球を届けるのかを郵便に例えて紹介します。
豆電球は配達人が運ぶ
Aデパートの2階にある靴屋さんで、「運動靴を下さい」と注文したいとします。「運動靴を下さい」は01(つまり豆電球は1秒消えて1秒点く)と決めていれば、スイッチが接続された豆電球を靴屋さんが持っていればすぐ伝えることができます。
しかし、さまざまな人とやり取りするためには豆電球を1つ1つ渡す必要があり、途方もない数になってしまいます。このため、豆電球を運ぶのは以下のように配達人がしてくれます。
手紙でも相手の住所を書くように、豆電球を誰に渡してほしいか配達人に住所を教えます。
配達人は迷わない
配達人は、渡された住所を頼りにAデパートに行きます。途中、分かれ道があっても、以下の図のように道しるべがあって迷うことはありません。
道しるべは、Aデパートに着くまですべての分かれ道にあり、どの道を行けばよいか教えてくれます。また、上の図では分かれ道は2つの方向だけですが、多数の方向があってもその1つを必ず示してくれます。
配達人は靴屋さんが2階にあると知っている
配達人は、Aデパートに着くと案内を見ることもなく2階に上がって行き、靴屋さんにたどり着きます。靴屋さんは、どこのデパートでも2階にあると決まっているのです。
こうして配達人は豆電球を靴屋さんに届け、豆電球で通信が可能になります。
住所、道しるべの正体
ここまで、通信を届けるしくみを住所や道しるべで例えて説明しました。ここからは、実際の通信ではどうなっているのかを説明します。
実際の通信で、住所の役目をしているのはIPアドレスと呼ばれています。例えば、192.168.1.1などがIPアドレスです。各「.」で区切った数字は0〜255の間が使えるため、約43億個のIPアドレスがあることになります。
43億個のIPアドレスが世界中に散らばっていると、通信相手がどこにいるか探すのはとても難しそうに思えますが、ルーターという道しるべが分岐点ごとにどちらに向かえばよいか常に示してくれます。
つまり、ルーターが上、下など教えてくれた方に向かい、次のルーター、その次のルーターとたどって行くことで通信相手までたどり着けるのです。
靴屋さんは何故2階にあると決まっているのか?
初めてデパートに行った時、どこに目的のお店があるのか探す必要がありますが、八百屋さんが1階、靴屋さんが2階などと決まっていれば簡単だと思います。実際の通信でも23番ならTelnet、80番ならWebなどと決まっていて、この番号をポート番号と言います。
この決まりを破り、Aデパートでは靴屋さんが3階で2階には魚屋さんがあったとします。魚屋さんに「運動靴を下さい」と言っても受け付けられないように、受け取る方で80番ポートがWebからメールに変更していると通信エラーになります。このようなことにならないように決まりを作っているのです。
IPアドレスが住所の役割をしているのに対して、ポート番号はサービスの種類を示す役割をしています。
ネットワークでの通信
運動靴を注文するには、Aデパートの住所と靴屋さんに行ってほしいことを配達人に伝え、「運動靴を下さい」と豆電球で通信すればいい訳なので、以下の情報がセットと考えられます。住所とお店の種類は配達人がたどり着くまでに利用する情報で、内容が実際に行いたい注文です。
住所 | お店の種類 | 内容 |
---|---|---|
Aデパートの住所 | 靴屋さん | 運動靴をください |
実際のネットワークでもIPアドレス、ポート番号、データをセットにして通信しています。IPアドレスとポート番号は相手に届くまでに利用する情報で、データが実際に行いたい内容です。
IPアドレス | ポート番号 | データ |
---|---|---|
192.168.1.1 | 80(Web) | get(Webの内容をください) |
通信は豆電球と同じで0、1しかないため、実際には上記が2進数に変換されて通信を行います。
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