フローティングスタティック

アドミニストレーティブディスタンス値は、変更できることを説明しました。これを利用して、スタティックルートでバックアップ経路を作成できます。

本項では、フローティングスタティックについて説明します。

ダイナミックルーティングとのフローティングスタティック

アドミニストレーティブディスタンス値はRIPよりスタティックルートの方が優先度が高いですが、スタティックルートの優先度を下げてRIPの経路を有効にし、障害が発生した場合にスタティックルートの経路を有効にできます。これをフローティングスタティックと言います。

例えば、ルーターAとルーターB間はRIPでやり取りしていて、ルーターCはRIPが使えず回線も細いため、172.16.1.0/24のサブネットと通信する時、通常時はルーターBを経由して行いたいとします。

この場合、ルーターAで172.16.1.0/24のスタティックルートを設定し、アドミニストレーティブディスタンス値を大きくすることでRIPの経路を有効にできます。

経路が2つある時にアドミニストレーティブディスタンス値を調整してRIPを優先させる。

ルーターBの故障などでRIPが受信できなくなった場合、スタティックルートがルーティングテーブルに反映され、172.16.1.0宛ての通信はルーターCを経由して行うようになります。

RIPの経路が無効になると、スタティックルートが有効になる。

スタティックルーティングどうしのフローティングスタティック

フローティングスタティックルートは、スタティックルーティングどうしでも可能です。

スタティックルートでは、ルートごとにアドミニストレーティブディスタンス値を設定できます。

2つのスタティックルートでそれぞれアドミニストレーティブディスタンスを設定する。

上の図では、ルーターAは172.16.1.0宛てはルーターB経由がルーティングテーブルに反映されます。

ルーターBの故障などでルーターAの下のインターフェースが無効になると、ルーターBへのスタティックルートは無効になります。このため、ルーターCへのスタティックルートがルーティングテーブルに反映され、172.16.1.0宛ての通信はルーターCを経由して行うようになります。

優先されていたスタティックルートが無効になると、もう1つのスタティックルートが有効になる。

この場合、以下の障害では切り替えが行われません。

直接接続されたインターフェースでないと障害は検知できないため、経路切り替えもできない。

これは、ルーターAが直接接続されたインターフェースでないのでダウンしたことを検知できないためで、ルーターBからルーターAに通知する別のしくみが必要です。

RIPやOSPFであれば経路が送られてこなくなるため、このような場合でも切り替え可能です。

関連ページ

応用編「経路の優先順位
同じ経路があった場合にどのように優先されるのかを説明しています。アドミニストレーティブディスタンスについても説明しています。
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Catalystでのフローティングスタティックの設定方法を説明しています。