フローティングスタティックの設定 - Catalyst

Catalystでフローティングスタティックを設定するコマンドの使い方について説明したページです。フローティングスタティックの動作や意味については「フローティングスタティック」をご参照下さい。

ダイナミックルーティングとのフローティングスタティック

 以下の図のようにスイッチAから172.16.1.0/24に至る経路はスイッチB経由とスイッチC経由がある場合を例にします。

フローティングスタティックの設定1

 通常時はRIPを受信しているスイッチB、スイッチBの障害時はスタティックルートで設定しているスイッチCの経路にしたい場合はスイッチAで以下のように設定します。尚、VLANやインターフェースの設定は省略します。

【RIPとのフローティングスタティックの設定】
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# router rip
Switch(config-router)# network 172.16.0.0
Switch(config-router)# exit
Switch(config)# ip route 172.16.1.0 255.255.255.0 172.16.3.1 115

 この設定でスイッチCの経路を設定したスタティックルートはアドミニストレーティブディスタンスが115に設定され、RIPの経路が優先されます。

 スイッチBの障害等でRIPの経路がルーティングテーブルからなくなるとスイッチCの経路が有効になります。

 又、スイッチBが復旧するとスイッチB経由のRIPの経路が有効になり、切り戻しが発生します。

 スイッチDからスイッチAの経路も切り替える場合はスイッチDでも同様の設定が必要です。

 尚、RIPではなくOSPFでも同様の設定で切り替え可能です。

 設定後はshow ip routeコマンドでRIP側の経路が有効になっている事を確認します。

スタティックルーティング通しのフローティングスタティック

 今度はスタティックルーティング通しのフローティングスタティックです。

フローティングスタティックの設定2

 スイチB経由を優先し、スイッチBに障害が発生した場合にスイッチC経由にする場合はスイッチAで以下を設定を行います。尚、VLANやインターフェースの設定は省略します。

【スタティックルーティング通しのフローティングスタティック】
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# ip route 172.16.1.0 255.255.255.0 172.16.2.1
Switch(config)# ip route 172.16.1.0 255.255.255.0 172.16.3.1 115

 この設定でスイッチCの経路を設定したスタティックルートはアドミニストレーティブディスタンスが115に設定され、スイッチB経由の経路が優先されます。

 スイッチBの障害等でスイッチB経由の経路がルーティングテーブルからなくなるとスイッチCの経路が有効になります。

 又、スイッチBが復旧するとスイッチB経由のスタティックルーティングの経路が有効になり、切り戻されます。

 スイッチDからスイッチAの経路も切り替える場合はスイッチDでも同様の設定が必要です。

フローティングスタティック設定時の留意点

 スタティックルーティングは、設定しているゲートウェイに対応するレイヤー3インターフェースがダウンすると、経路が失われたと判断してルーティングテーブルから削除されます。

 Gi0/1等の物理インターフェースをswitchportでレイヤー2に設定してVLAN間ルーティングしている場合、レイヤー3インターフェースとはVLANインターフェースになるため、VLANインターフェースがダウンすると削除される事になります。

フローティングスタティックの設定3

 このため、以下の図のようにVLANを他の物理インターフェースにも割り当てているとフローティングスタティックが思った通りに動作しない事があります。

フローティングスタティックの設定4

 上記ではGi0/1がダウンしてもGi0/3がアップしているとVLAN20がアップしているため、スイッチB経由のスタティックルートはルーティングテーブルに反映されたままになり、スイッチC経由のフローティングスタティックが有効になりません。

 これは、Gi0/1もGi0/3も同じVLAN20に所属しているため、スイッチAではスタティックルーティングで設定したゲートウェイがどちらの物理インターフェースに接続されているか判断出来ないためです。

 このようにならないよう、優先している経路の物理インターフェースがダウンすると確実にVLANインターフェースもダウンさせてルーティングテーブルから削除されるようにする必要があり、優先経路のVLANは他の物理インターフェースに割り当てない等の考慮が必要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加