Flex Linkの設定 - Catalyst
CatalystでSTP代替え機能としてFlex Linkを設定するコマンドの使い方について説明したページです。STP代替え機能の動作や意味については応用編「STP代替え機能」をご参照下さい。
以下のようにスイッチがループ構成になっている場合でスパニングツリーを使わずにループを解決する方法はCatalystではFlex Linkと言います。
Flex Linkを有効にするにはスイッチA、Dで以下の設定を追加します。
Switch# configure terminal Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1 Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitethernet2/0/1 Switch(config-if)# exit
上記の設定によりgi1/0/1がActive、gi2/0/1がBackupになり、gi1/0/1が通信を行います。gi1/0/1がダウンするとgi2/0/1が通信を開始します。
上記ではスタックに跨って設定していますが、1台のスイッチでも同様に可能です。
又、インターフェースはイーサチャネルのインターフェースに対しても設定する事が出来ます。
スイッチDでも同様に設定する事でスパニングツリーを使わずにループが解決出来ます。
Flex Linkの切り替えは高速で、100ms以内にリンクダウンを検出して切り替え可能です。
プリエンプトの設定
gi1/0/1がダウンしてgi2/0/1が通信を開始した後、gi1/0/1が復旧した場合でもデフォルトではgi2/0/1が通信を継続して行います。つまり自動的に切り戻しをしません。
管理のし易さやインターフェースの速度の違い等があって常にgi1/0/1側が通信するようにしたい場合は以下のコマンドを追加します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitethernet2/0/1 preemption mode forced
Switch(config-if)# exit
上記の設定により、gi1/0/1がアップしている場合は常に通信を転送するようになります。又、forcedではなくbandwidthを設定する事により帯域が大きいインターフェースが通信を行うように出来ます。
Flex Linkの確認
Flex Linkの確認はshow interfaces switchport backupで行えます。
Switch# show interfaces switchport backup Switch Backup Interface Pairs: Active Interface Backup Interface State -------------------------------------------------------------- GigabitEthernet1/0/1 GigabitEthernet2/0/1 Active Up/Backup Standby
上記ではgi1/0/1がActiveに設定されておりUPして通信を行っている、gi2/0/1がBackupに設定されておりStandbyしている事が分かります。
以下のような構成の場合、Flex Linkを利用して切り替えが発生すると通信の復旧が遅くなる可能性があります。
この場合、例えばスイッチA〜B間がダウンした場合にスイッチDはMACアドレステーブルにより一定時間スイッチBにフレームを送信してしまいます。
スイッチA〜B間はリンクダウンしているため、この間は通信が出来ません。
これを回避する方法としてMACアドレステーブル移動更新機能があります。
Macアドレステーブル移動更新機能の送信を有効にしたスイッチではFlex Linkでの切り替えが発生するとMacアドレステーブル書き換えを促すフレームを送信します。
Macアドレステーブル移動更新機能の受信を有効にしたスイッチではMacアドレステーブル書き換えを促すフレームを受信して直ちにMACアドレステーブルを変更します。MACアドレステーブルが変更される事で通信を通常より高速に再開可能です。
Macアドレステーブル移動更新機能の送信を有効にするためにはスイッチAで以下の設定を行います。
Switch(config)# mac address-table move update transmit
Macアドレステーブル移動更新機能の受信を有効にするためにはスイッチB、C、Dで以下の設定を行います。
Switch(config)# mac address-table move update receive
Flex Linkの留意点
Flex Linkはコアッスイッチが2台あってエッジスイッチに端末が接続されているような構成では非常に高速な通信の復旧が可能です。
MACアドレステーブル移動更新機能で説明した構成では、Flex LinkだけではスイッチB〜D間等のリンクダウンに対応出来ません。又、他のスイッチがMacアドレステーブル書き換えを促すフレームを受信出来るスイッチでないと通信の復旧が遅くなる可能性があります。
- 応用編「スパニングツリー代替え機能」