リンクアグリゲーションが遅い
リンクアグリゲーションが遅い場合に考えられるトラブルについて説明します。
現象
複数のパソコンとサーバー間で最大時200Mbpsの通信量があり、スイッチ間が100Base-TXで接続されていて遅かったため、4本のリンクアグリゲーションにしたが通信が遅いままである。
各機器は正常に動作しており、100Base-TXは4本共にリンクアグリゲーションに組み込まれているとします。
切り分け方法
スイッチにポートミラーリングの設定を行い、スイッチ間のインターフェースを4本共パケットキャプチャします。
原因
キャプチャの結果、殆どの通信が1つのインターフェースで行われいてる場合、リンクアグリゲーションの負荷分散がMacアドレス単位になっている可能性があります。
「Macアドレス」で説明した通り、ルーターを通る度にフレームの送信元MacアドレスはそのルーターのMacアドレス、宛先Macアドレスは次のルーターのMacアドレスに変わります。このため、上の図のパソコンからルーターに送られるフレームはルーター間では以下の図の通りになっています。
FCS | データ | タイプ | 送信元Macアドレス | 宛先Macアドレス |
---|---|---|---|---|
4byte | 46〜1500byte | 2byte | ルーターAのMacアドレス | ルーターBのMacアドレス |
これはどのパソコンからの通信でも同じです。このため、リンクアグリゲーションの負荷分散が送信元Macアドレス、又は宛先Macアドレス、又は両方に設定されている場合、全ての通信はMacアドレスが同じであるため、スイッチ間で同じインターフェースを通る事になります。
対処
リンクアグリゲーションの負荷分散を送信元IPアドレス、又は宛先IPアドレス、又は両方とします。
パソコンのIPアドレスはそれぞれ異なるため、スイッチ間では異なるインターフェースに負荷分散されます。
留意点
このように、リンクアグリゲーションは負荷分散の設定によっては意味を成しません。この他にもパソコン1台、サーバー1台の間の通信をリンクアグリゲーションしてIPアドレス単位で負荷分散した場合も同様に意味がありません。
この対処としてパソコンとサーバー間の通信が複数のポート番号で行われている場合は、ポート番号単位で負荷分散するように設定します。
- 応用編「リンクアグリゲーション」