リンクアグリゲーション

2本のケーブルを1本のように扱って、帯域を増やすことが可能です。

本項では、リンクアグリゲーションについて説明します。

リンクアグリゲーションとは

複数のインターフェースを1つのインターフェースのように扱うことが可能です。この技術を、リンクアグリゲーションと言います

リンクアグリゲーションを使えば、上のインターフェースを使う通信と下のインターフェースを使う通信、それぞれが1つのインターフェース分の帯域を使える(1Gbpsが2本なら2Gbps分使える)ため、高速に通信が可能です。

リンクアグリゲーションのしくみ

以下は、リンクアグリゲーションの特長です。

ループしない
上の図で、LANスイッチ間は2本のケーブルで接続されています。リンクアグリゲーションを使わない場合、通信がループしてしまう可能性もありますが、リンクアグリゲーションではこれを1本のように扱うため、ループはしません。
複数の通信がある場合に有効
通常、リンクアグリゲーションは1つの通信を複数のインターフェースに分けることはしません。例えば、1台のパソコンから1台のWebサーバーへの1通信を分散したりはしません。このため、1つの通信に限れば高速にはなりません。複数の通信がある場合に有効な技術です。
縮退
1つのインターフェースが障害で通信不可になった場合でも、残りのインターフェースで通信を継続可能です。
複数のインターフェースで構成可能
リンクアグリゲーションは2つだけでなく、複数(例えば8つ)のインターフェースで構成することが可能です。何個まで構成できるかは、装置の仕様によります。

なお、リンクアグリゲーションをイーサチャネルと呼ぶ場合があります。

スタティック設定

リンクアグリゲーションは、装置に1,3,6,7番のインターフェースは同じ組(リンクアグリゲーションの番号を同じ)というように設定します。

リンクアグリゲーションの設定イメージ

この時、スタティック設定(固定設定)にすると、常に設定したインターフェースがリンクアグリゲーションに組み込まれます。

異なるリンクアグリゲーションの番号を設定すると、異なるリンクアグリゲーションが構成できます。

LACP

スタティック設定以外には、LACP(Link Aggregation Control Protocol)という方法もあります。LACPに設定しておくと、対向装置間でネゴシエーションした後、可能なインターフェースだけがリンクアグリゲーションに組み込まれます。

LACPのしくみ

上の図では、LANスイッチ2で6,7番のインターフェースにリンクアグリゲーションの設定がされていないため、リンクアグリゲーションには組み込まれません。

スタティック設定にしておくと対向装置で矛盾がある状態だと通信が成立しない場合がありますが、LACPにしておくと可能なインターフェースだけが組み込まれるため、余計なトラブルが回避できる場合があります。

LACPには2つのモードがあります。

【LACPのモード】
モード 説明
アクティブモード LACPを送信し、積極的にリンクアグリゲーションを構成しようとします。
パッシブモード 最初LACPは送信せず、相手から送信されたらリンクアグリゲーションを構成する。

一般的には、LACPのアクティブモードが推奨されています。

LACPは、MACアドレス「01-80-c2-00-00-02」を宛先としています。これはLANスイッチ間でやりとりすることを前提としているため、LANスイッチで透過しないようになっています。

負荷分散

リンクアグリゲーションは通信を複数のインターフェースに振り分けて負荷分散しますが、負荷分散の仕方には送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、ポート番号などがあります。例えば、送信元MACアドレスで振り分ける設定にしていれば、送信元MACアドレスによって送出されるインターフェースが決定されます。通常、複数の組み合わせでも設定できます。

それぞれの装置の設定に従って負荷分散されるため、対向装置で異なる設定の場合は行きと返りが異なるインターフェースを通る場合がありますが、通信は成立するため、必ずしも同じ設定にする必要はありません。

行きと返りで異なるインターフェースに負荷分散されている。

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