WDM

光ケーブルで遠距離を接続すると、まだまだ高価です。このため、光ケーブルを複数に見せる技術が開発されました。

本項では、WDM(Wavelength Division Multiplexing)について説明します。

WDMの特徴

WDMはケーブルではありませんが、ケーブルを複数あるように見せる技術です。

1本の光ケーブルは、これまで1つの信号を送るために使われていました。このため、送信/受信の組み合わせで2本1組だったのですが、WDMではこれを1本、もしくは複数の送信を1本で実現できるようにしています。

光には波長がありますが、WDMでは異なる波長を違う信号と認識することで複数の信号を流しています。この技術を、光波長多重と呼びます。

WDMの具体例

WDMは、複数の信号を1本の光ケーブルで送受信できます。このため、建屋間、都市間で複数の1000Base-SX、1000Base-LXなどを接続するために活用できます。

WDMのしくみ

WDMには信号の多重が少なく接続距離も短いCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)と、多数の信号の多重ができて接続距離も長いDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)があります。DWDMはCWDMに比べてかなり高価です。

1000BASE-BX

光ケーブルでは、通常は送信用、受信用に2本一組で使われると説明しましたが、SFPにWDMの技術を取り入れると光ケーブル1本で通信できるようになります。これを1000BASE-BXと言います。

1000BASE-BXは、異なる波長を使うことで送信と受信を1本の光ケーブルで実現しています。

1000BASE-BXのしくみ

送信する波長と受信する波長が対向で異なることになりますが、2つの規格を1000BASE-BX-D、1000BASE-BX-Uと言います。このため、対向でそれぞれの規格に対応した別製品のSFPが必要で、組み合わせて利用します。

1000BASE-BXはシングルモードファイバーを利用し、接続距離は10kmですが、それ以上の距離を接続できる製品もあります。

1000BASE-BX用のSFPは1000BASE-SXや1000BASE-LX用のSFPと比較して高価ですが、光ケーブルを敷設するのも費用がかかりますし、容易に敷設できないケースもあります。このため、1本の光ケーブルで通信できる1000BASE-BXは光ケーブルが足りない、敷設を少なくしたいといった場合に利用します。

以前の多重化方式

以前の多重化方式の1つとして、時分割多重化方式があります。

時分割多重化方式は、一定の時間を64Kbpsのタイムスロット(TS)として区切り、各タイムスロットをそれぞれの通信に割り当てます。例えば、192Kbpsの回線でタイムスロット1と2を通信1、タイムスロット3を通信2というように割り当てます。

TDMのしくみ

時分割多重化方式は回線速度が遅く、他の通信が回線を使っている時は通信を待たなければいけないため遅延に厳しい通信にも向きませんでした。

その後に登場したのがATMセル多重化方式です。ATMセル多重化方式は、53バイトのセルに分割して送信します。

ATMセル多重のしくみ

各セルは順番を入れ替えることも可能なため、遅延に厳しい通信にも対応可能であり、ある通信に一定の帯域を保障する、これ以上の帯域は使わせないといった制限も可能です。