MSTインスタンスとリージョン

MSTPでは、VLANをグループ分けして複数のスパニングツリー構成を持つ事が出来ます。又、そのグループ分けを共有する範囲を決める事も出来ます。

本項では、インスタンスとリージョンについて説明します。

尚、スパニングツリーの動作や仕組みについては、「スパニングツリー」をご参照下さい。

 MSTPは、VLAN10と20のグループ、VLAN30と40のグループ等、グループ分け出来ます。このグループをインスタンスと呼び、インスタンス単位でルートブリッジや代替ポート等を変える事が出来ます。

 以下は、3台のスイッチでMSTPを構成した時の図で、左がインスタンス1、右がインスタンス2を表しています。

MSTインスタンス

 上記のように、インスタンス1を作成してVLAN10と20を割り当てると、VLAN10と20のフレームはインスタンス1のスパニングツリー構成に従って転送されます。インスタンス2を作成してVLAN30と40を割り当てると、VLAN30と40のフレームはインスタンス2のスパニングツリー構成に従って転送されます。

 3つ以上のインスタンスを持つ事も可能で、インスタンスの数だけ異なる経路を持つ事が可能です。

 MSTPには、リージョンと呼ばれる範囲があります。同一リージョン内のスイッチは、リージョン名とリビジョン番号を同じにします。

 又、インスタンスも一致している必要があります。例えば、インスタンス1にVLAN10と20、インスタンス2にVLAN30と40を割り当てたのであれば、リージョン内のスイッチで同じ割り当てにする必要があります。

 リージョンが異なると、インスタンスも変える事が可能です。以下の例では、mst1とmst2というリージョンを作成し、インスタンスの設定も変えています。

MSTリージョン

 リージョンを分ける場合の例として、異なるVLANで管理している、ネットワークの規模がかなり大きい、管理者が違う等が挙げられます。

 このような理由がない限り、通常はリージョンを分ける事はしません。例えば、コアスイッチを中心としたスター型ネットワークで管理者も同じ場合、一般的には同一リージョンにします。

次のページ「ISTとCSTとCISTの違い

  • このエントリーをはてなブックマークに追加