ISTとCSTとCISTの違い
MSTPのリージョンで区切られた内部と外部は、連携して1つのスパニングツリーとして動作します。
本項では、ISTとCST、CISTについて説明します。
IST(Internal Spanning Tree)は、MSTリージョン内にデフォルトで存在するインスタンス0です。
リージョン内に複数のインスタンス(MSTI)があった場合でも、インスタンス0がBPDUを送受信します。このため、MSTPのBPDUは、複数のインスタンス情報が含まれています。
MSTPは、インスタンス単位にスパニングツリーを構成出来ますが、インスタンス単位にBPDUを送受信する必要がないため、BPDUの数が少なくて済みます。
尚、STPのBPDUはバージョン0、RSTPのBPDUはバージョン2、MSTPのBPDUはバージョン3です。バージョン3は、バージョン2に上記インスタンス単位の情報(MST Extention)を付加したフォーマットになっています。
CST(Common Spanning Tree)は、1つのスパニングツリー構成を持つIEEE802.1D規定のSTP、IEEE802.1w規定のRSTPを示します。IEEE802.1s規定のMSTPは、インスタンスにより複数のスパニングツリー構成を持つ事が出来ますが、リージョン間を接続する部分はCSTとなります。つまり、リージョン内部がIST、外部がCSTです。
CSTから見ると、MSTリージョン内は1つのスイッチのように見えます。CST接続のために使われるブリッジIDは、リージョン内で全て同じためです。
MSTP〜STP/RSTP間もCSTです。MSTPに設定された装置でバージョン0のBPDUを受信すると、バージョン0のBPDUを送信するようになります。バージョン2のBPDUを受信した場合、バージョン3のまま送信します。
BPDUバージョン3の全体簡略図は、以下の通りです。
CSTでは、CST接続用と記述している所が使われます。これは、RSTPのフォーマットと同じです。このため、バージョン3のままでもRSTP側で認識出来ます。CST接続時は赤字のブリッジID(リージョン内共通)が使われ、IST内では青字部分で自身のブリッジIDを使います。
CSTは、全VLANで共通のスパニングツリー構成になるため、CSTでディスカーディング状態になったインターフェースでは通信出来ません。
CIST(Common and Internal Spanning Tree)は、ISTとCST全体のスパニングツリー構成を示します。
CIST全体に対するルートブリッジが存在し、CISTのルートブリッジはそのリージョン内のISTルートブリッジです。ISTルートブリッジのブリッジIDがリージョン内のブリッジIDとなり、CST接続時のルートブリッジ選定に使われるためです。
ルートブリッジの決め方は通常のSTPと同じで、BPDUの送受信でブリッジIDの小さなものが選択されます。
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