Proxy ARP
サブネットを跨る通信を行うためには、サブネットマスクの設定が必要ですが、設定していなくても通信可能な仕組みがあります。
本項では、Proxy ARPについて説明します。
サブネットマスクによるARP動作の違い
パソコン等でサブネットマスクを設定していると、異なるサブネットと通信するために、ARPでデフォルトゲートウェイのMACアドレスを解決します。
このため、パソコンからは宛先をL3スイッチやルーターのMACアドレスにしてフレームを送信し、ルーティングにより相手サーバーと通信可能になります。
サブネットマスクを設定していないと、直接相手と通信出来ると認識し、通信先のMACアドレス解決のためにARPを送信します。
通信先が同一サブネットにない場合は、ARPの応答が得られず、通信が出来ません。
Proxy ARPの仕組み
Proxy ARPを利用すると、L3スイッチやルーターが代理でARP応答を行います。
ARPの応答を受信したパソコンは、通信先から応答があったと認識し、応答した装置のMACアドレスを宛先にしてフレームを送信します。これにより、宛先MACアドレスがL3スイッチやルーターになるため、ルーティングされて通信が可能になります。
つまり、パソコン等にサブネットマスクが設定されていなくても、L3スイッチやルーターでPorxy ARPが有効であれば、サブネットを跨いだ通信が可能になります。
留意点
Proxy ARPがデフォルトで有効なL3スイッチやルーターがあります。
このL3スイッチやルーターを異なる機種に変更し、Proxy ARPが無効な場合、サブネットマスクを設定していない機器が通信出来なくなります。
今ではサブネットマスクが設定出来ない機器は殆どありません。又、正常にサブネットマスクが設定されていれば問題ありませんが、一部機器だけ通信出来なくなった場合は、トラブル原因として可能性があります。
その場合、通信出来なくなった機器にサブネットマスクとデフォルトゲートウェイを設定するか、スイッチやルーターでProxy ARPを有効にする必要があります。
- 基本編「ARP」
- 追補版「ARPパケットフォーマット」