PoE
電源ケーブルなしで電力を供給(給電)出来ると便利です。
本項では、PoE(Power over Ethernet)について説明します。
PoEによる給電
ネットワークに接続された機器の1台1台が、電源コンセントから電力を取ると、電源コンセントの数が沢山必要になります。又、近くに電源コンセントがない場合、電源工事が必要になります。
このような時、PoEを利用するとツイストペアケーブル経由で電力を供給出来るため、電源コンセントが不要になります。
ツイストペアケーブルを接続する事で、通信と電力供給を同時に行えます。電力を供給する装置をPSE(Power Sourcing Equipment)、受電する装置をPD(Powered Device)と言います。PSEはPDが接続されると自動認識し、電力を供給します。パソコン等PDと認識しなかった場合は電力を供給しません。
PSEとして動作する機器に、スイッチやルーターがあります。PDとして動作する機器には、IP電話機や無線アクセスポイント、ネットワークカメラ等があります。IP電話機とは、VoIPを利用して通話出来る電話機です。
PoEの規格はIEEE802.3afで、最大15.4Wまで供給出来ます。又、最大30Wまで供給出来るIEEE802.3at(PoE+と呼ばれる)も規格化されています。
PoEはカテゴリ5以上、PoE+はカテゴリ5e以上のツイストペアケーブルで使えます。ツイストペアケーブルなので、制限長は100mです。
クラス
PSEはPDが接続されると電流を測定する等して、必要な電力を分類します。この分類をクラスと呼びます。
クラス | PSE最大供給電力 | PD最大消費電力 |
---|---|---|
0 | 15.4W | 0.44 〜 12.95W |
1 | 4W | 0.44 〜 3.84W |
2 | 7W | 3.84 〜 6.49W |
3 | 15.4W | 6.49 〜 12.95W |
4 | 30W | 12.95 〜 25.5W |
例えば、クラス2であればPSEから最大7Wが供給され、PDで利用出来るのは最大6.49Wです。供給電力に対して利用出来る電力が小さいのは、ケーブル上で減衰と呼ばれる電力ロスがあるためです。
PSEは、PDをクラスに分類する事で、必要な電力を判断する事が出来ます。
尚、クラスが検知出来ない場合は、クラス0になります。
供給電力
電力は電力会社から交流で供給されますが、スイッチやルーターで利用するためには直流に変換する必要があります。このため、スイッチやルーターには変換のために電源ユニットが搭載されています。電源ユニットは最大消費電力が決まっており、これを超える電力は使えません。
つまり、PD全体に供給出来る電力は、装置によって40W等許容値が決まっています。
スイッチやルーターは、接続されたPDのクラスに応じて電力を供給しますが、供給する電力の合計が許容値を超える場合は、PDに供給出来ません。この時、重要な機器を停止させないため、インターフェースに供給の優先度を設定出来るPSEもあります。
又、各インターフェースで利用可能なワット数を指定し、過剰な電力消費を制限出来るPSEもあります。
PSEとして動作する機器にはPoEインジェクターと言って、ツイストペアケーブルの途中に接続し、電力を供給する装置もあります。
この場合、スイッチやルーターがPoEに対応していなくても、PoEインジェクターから電力を供給出来ます。