IGMPスヌーピング

マルチキャスト宛てのフレームを、不要なインターフェースに送信しないようにする仕組みがあります。

本項では、IGMPスヌーピングについて説明します。

IGMPスヌーピングの基本動作

 動画はフレームが大量に送信されるため、動画を参照しないインターフェースにまで送信すると、無駄に帯域を使う事になります。このため、マルチキャストで配信した場合、動画を参照しないインターフェースには、フレームを流さないように出来ます。これを、IGMPスヌーピングと呼びます。

 IGMPスヌーピングが有効なスイッチは、Membership Report(グループ参加)を受信したインターフェースにだけ動画を転送します。

IGMPスヌーピングの仕組み

 Membership Reportを受信したインターフェースとアドレスの情報は、260秒等一定時間テーブルに保持されます。ルーターから定期的にMembership Query(グループ参加の確認)が送信され、パソコンがMembership Reportで応答する事で保持時間が延長されます。一定時間受信出来ないと、インターフェースの情報がテーブルから削除され、スイッチは動画を転送しなくなります。

 又、パソコンからのLeave Group(グループ脱退)を受信後、Membership Queryに対するMembership Reportが一定時間(10秒等)なかったインターフェースもテーブルから削除します。

 Leave Groupを受信したインターフェースは、10秒等待たずにテーブルから破棄して、即座に動画を転送しないようにも出来ます。これを即時脱退と言います。即時脱退は、すぐに動画のフレームを止められるメリットがありますが、デメリットもあります。他のパソコンが同じ動画を参照していると、そのパソコンでも動画が停止してしまいます。

IGMPスヌーピング即時脱退利用時の留意点

 このため、即時脱退はスイッチとパソコンが直接接続されている場合に利用します。上図の例では、スイッチ-aでは即時脱退を有効に出来ますが、スイッチ-bでは無効にした方が良いと言えます。

通信量の抑制

 IGMPスヌーピングが有効な場合、ルーターから定期的に送信されるMembership Queryを受信し、ルーターが接続されたインターフェースを認識します。

 Membership Queryに対するMembership Reportが複数のパソコンから送信された場合、最初のMembership Reportだけをルーターに転送します。

IGMPスヌーピングにおける通信量の抑止

 これにより、ルーターへのIGMPを抑制出来ます。ルーターでは、1台だけでもMembership Reportを受信すれば動画を配信するため、PC-bも動画を視聴出来ます。

 又、Leave Groupを受信した時、他のインターフェースからMembership Reportを受信していた場合、ルーターに転送しない事も可能です。これにより、ルーターからの動画配信が継続されると共に、IGMPのやりとりを抑制出来ます。

留意点

 ルーターが複数あった場合でも、Membership Queryを定期送信するのは1台だけ(クエリア)です。このため、スイッチはクエリア以外のルーターを認識出来ません。

2台ルーターがある場合のIGMPスヌーピングにおけるルーターの認識

 クエリア以外のルーターから動画を配信する事もあります。これは、IGMPv2以上では一番小さいIPアドレスを持つルーターがクエリアになりますが、動画の配信経路は上位のPIMによって決められるためです。

2台ルーターがある場合のクエリアと動画配信経路

 つまり、パソコンからのMembership Reportは、クエリア以外のルーターにも転送が必要です。このため、ルーターが複数ある場合、スイッチでルーターが接続されたインターフェースを明示的に設定する必要があります。

1ページ目「IGMP

2ページ目「IGMPスヌーピング」

3ページ目「IGMPスヌーピングクエリア

4ページ目「IGMPパケットフォーマット

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